幻妖能楽集

 能にはすごく興味がありますが、「観に行くと寝ちゃうのではないか?」とか「詳しい人と一緒に観た方が良いのでは?」等思ってなかなか観に行くことができず数年が経過してしまいました。
が、「幻妖能楽集」という漫画は能楽の演目の中から「葵上(あおいのうえ)」「定家(ていか)」「小鍛冶(こかじ)」「羽衣(はごろも)」「清経(きよつね)」「通小町(かよいこまち)」「紅葉狩(もみじがり)」「猩々(しょうじょう)」「隅田川(すみだがわ)」「道成寺(どうじょうじ)」「海人(あま)」の十一篇を選んでコミカライズした作品です。
一演目に波津彬子(はつ あきこ)さんの漫画が訳10ページで、山内麻衣子(やまうち まいこ)さんのコラム風の解説が2ページという構成になっており、能の初心者でもわかりやすくなっています。そのため、能に詳しい人が読むと物足りない感じがするかもしれません。
十一篇すべて実際の能で観てみたいと思っていますが、その中でも今日を持った三篇の感想を記載します。

「葵上(あおいのうえ)」
 古典文学である『源氏物語』「葵上」が典拠となっている演目です。『源氏物語』はある程度物語を知っているので、漫画も違和感なく読むことができました。
漫画では病に伏している葵上が登場していますが、解説によると実際の能では葵上役が一切登場せずに、舞台に置かれた一枚の小袖が、葵上の存在を表すそうです。存在しない人を存在させるように見せるという演目に興味があります。

「清経(きよつね)」
 清経はイケメンで描かれており、個人的にはこの漫画で一番の好みです。
ストーリーが自らの運命を悟った清経は誰の相談もせず海に身を沈め、それを知った妻が遺髪の受け取りを拒否した結果、彼女の枕元に清経が現れ恨み言等を言いに来て、最後は心乱れず念仏をを死ぬ時に唱えたので思い通りに成仏した、という自己完結型人間の話なので、清経に感情移入できず、妻の方に感情移入した結果、読み終わった後「はぁ、良かったですね(怒)」という感じになりました。
能で見て印象が変わるか確認したい演目です。

「道成寺(どうじょうじ)」
 十一篇の中では一番スリルとサスペンスに満ちており、物語もわかりやすく、動きもありそう(鐘が落ちたりしそう)なので、最初に能を観るならこの演目だと思っています。

能はまだ演目がたくさんあると思うので続編を読みたいです。
また、この漫画で能に興味が出てきたので能の勉強や実際に能を観てみたいです。

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