グノーシス神話

 グノーシスとはギリシャ語で「知識・認識」という意味であり、その神話をグノーシス神話と言います。
 この神話には色々なバリエーションが存在しています。大きく2つにわけると、イラン・東方型(マニ教)とシリア・エジプト・西方型(ウァレンティス型)に区別する事ができます。
「認識」によって人間は神になれるというグノーシス主義の神話の特徴は、いっぷう変わった光と闇の善悪二元論にあります。
この神話は、世界の堕落と腐敗という事実から出発します。創造神が世界を創造しようしますが、失敗した為、世界は不完全さと悪が満ちています。そこから「光の地」へと帰還するというのが神話の骨子となっています。

 こういったグノーシス神話の世界観は、ユダヤ・キリスト教にも多大な影響を与えました。
 が、神話の中心が闇や悪を前提としており、神を全能と認めておらず、人間の内にある神的本質を覚知することによって、神的実体に帰一すると言う思想のため、キリスト教からは、異端として弾圧される時代が長く続きました。

 一例を挙げれば、キリスト教では、楽園に住んでいた人間に知恵の木の実を食べさせ堕落させる存在である蛇が、グノーシス神話においては、秘伝に関する秘密を握り、秘儀を伝える聖なる動物となっています。

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